ポーカーを始めてしばらく経った熱心なプレイヤーの中には、更なる上達を求めてGTO(Game Theory Optimal:ゲーム理論的な最適解)の学習に取り掛かる方もいらっしゃると思います。
確かにGTOの学習は上達にあたって必須事項であり、最終的には大きな効果が期待できます。
しかし学習に掛かる時間・金銭的コストが大きかったり、そもそも一人で学習するには内容が難しかったりと、特に中級者の方にとってはハードルの大きなものになりがちです。
体感できるほどの効果を得るまでに、趣味にしては大き過ぎる投資をする羽目になるリスクもあるでしょう。
そこで本記事では、GTOの学習より上達を実感しやすい
“平均的”なプレイヤーに対する搾取戦略
について解説していきます。
「搾取戦略を語る上でGTOの知識は欠かせない」という反論もあるかと思います。
ですが本記事はGTOのような具体的な話ではなく、もっと抽象的なレベルでの内容となっています。
できるだけ理解しやすく解説していますので、最後まで楽しんでいってください!
ターゲットの定義

本記事で想定する平均的なプレイヤー
本記事でタイトルにも挙げている”平均的”なプレイヤーとは、誰を指しているのか。
まずはそれを明確にしておきます。
ここでは初心者を除くパッシブなプレイヤーの事を”平均的”なプレイヤーと呼称する事にします。
何故パッシブなプレイヤーを狙うのか
パッシブなプレイヤーを狙う理由は2つあります。
- あまりブラフをしてこないので、相手の手札が読みやすい
- 低レートプレイヤーの大半がパッシブ傾向にある
これらの理由から、低レートポーカーにおいては利益の大部分をパッシブなプレイヤーから得る事になりやすいのです。
なお一口にパッシブなプレイヤーとまとめましたが、そこから更にタイト・パッシブ、ルース・パッシブと細かく分類する事もできます。
それぞれ対処が異なるので、まずはどういった特徴を持っているのかを整理しましょう。
タイト・パッシブとは
ポーカーにおけるタイトプレイヤーとは、以下の傾向を持った人の事を指します。
- プリフロップの参加頻度が低い(≒参加するスターティングハンドの基準が高い)
そしてパッシブ(受け身)というのは文字通りの意味で、
- ブラフはあまりしない
- 手の強さに対してそこそこ素直
といった傾向を持っています。
タイト・パッシブとは上記の傾向を併せ持ったプレイヤーの事を指します。
ルース・パッシブとは
ポーカーにおけるルースプレイヤーとは、以下の特徴を持った人の事を指します。
- プリフロップの参加頻度が高い(≒参加するスターティングハンドの基準が低い)
そしてパッシブ(受け身)というのは文字通りの意味で、
- ブラフはあまりしない
- 手の強さに対してそこそこ素直
といった傾向を持っています。
ルース・パッシブとは上記の傾向を併せ持ったプレイヤーの事を指します。
つまり両者を分けるポイントは”参加率”であり、
共通するポイントは”ブラフが少ない”と”そこそこ素直” ←(超重要)
という事ですね。
これらの特徴を踏まえて、それぞれへの対処方法を見ていきましょう。
有効な搾取戦略

ここからは具体的な搾取戦略を紹介していきます。
まずは両方に共通する特徴、つまりパッシブなプレイヤーへの対処方法から触れていきます。
パッシブなプレイヤーへの搾取戦略
ポストフロップでベットの頻度を増やす
パッシブなプレイヤーはベット/レイズともにブラフが少ないため、結果的にレイズを返される可能性が低くなります。
仮にレイズを返されてもトップペア以上のハンドを持たれている可能性が高いため、本来ならレイズを返されたら困るハンドであっても、積極的にベットする事ができます。
例:あまり強くないフラッシュドロー、バックドアのないセカンドペアなど
特に中途半端なペア等は大きくレイズを返されたら降りれば良いので、
・薄いバリュー狙い
・中途半端なオーバーカードを降ろす(フォールドエクイティを得る)
・レンジを絞り込む
といった目的での安いベットを増やすのが効果的です。
ポストフロップでフォールドの頻度を増やす
上記でも書いている通り、パッシブなプレイヤーはベット/レイズともにブラフが少ないです。
そのため強気なアクションを取られた場合は、こちらの手が強くない限りは降りるのが基本となります。
「Aハイだけどブラフには勝ってる」と言ってパッシブなプレイヤーにブラフキャッチを試みるのはお金を減らすだけなので、この点を意識するだけで成績が改善するかもしれません。
自分の都合でプレーする(バランシングは考えない)
あくまで傾向ですが、パッシブなプレイヤーは自分のハンドしか見ていない事が多いです。
「相手が何を持っているかを考えていないから、ブラフスポットがわからない」
「相手の傾向を見ていないから、ぱっと見のハンドの強さで判断してしまう」
これらが原因でパッシブなプレイになってしまっている人が多いからですね。
カウンターされないのであればバランシングする必要などはないので、とにかく自分のハンドの価値を最大化する事に焦点を当てて考えるのがおススメです。
インポジションからの参加率を増やす
ポーカーにおいてポジションは非常に強力な武器です。
特にわかりやすいプレーをしてくれるパッシブなプレイヤーが相手の時は尚更です。
アーリーポジションからのオープンに、ボタンからマージナルハンドで参加するのは基本的にマイナスプレーですが、相手の手の強さがアクションから読み取れるのなら話は別です。
スモールペアやスーテッドコネクター、時にはKJo等のマージナルハンドでもコールで参加する価値があるかもしれません。
特にスモールペア、マージナルなブロードウェイハンドはブラフによってエクイティを奪われがちなハンドの代表ですが、パッシブなプレイヤーが相手ならその心配も少ないですからね。
・エクイティが奪われにくい
・薄いバリューが取りやすい
これらの特徴を念頭に入れて、普段降りているハンドでも参加する余地がないかを一度考えてみる事をおススメします。
タイト・パッシブなプレイヤーへの搾取戦略

タイト・パッシブなプレイヤーを攻略するにあたり、改めて特徴をおさらいしましょう。
- プリフロップの参加頻度が低い(≒参加するスターティングハンドの基準が高い)
- ブラフはあまりしない
- 手の強さに対してそこそこ素直
パッシブなプレイヤーへの対処は前述した通りなので、ここではタイトなプレイヤーに対する基本的な対処を紹介します。
ブラインドスチールを増やす
相手の参加率が低いという事は、当然スチールの成功率が高くなります。
また3ベットされる可能性も低くなるので、プリフロップのエクイティも奪われにくいです。
本来ボタンからでも参加を控えるようなハンド群であっても、ブラインドのプレイヤーがタイト・パッシブなのであれば参加を検討しても良いかもしれません。
特にトーナメントであれば1BBの価値も非常に大きいですし、極論ボタンからほぼ全てのハンドで参加しても良い状況があるかもしれません。
(ただしアグレッシブなプレイヤーが1人でも混じっている場合は、極端なプレーは控えた方が良い点には注意です。3ベット頻度を増やす事でカウンターされるリスクを考慮する必要があります。)
プリフロップの3ベット/4ベット/5ベットを減らす
タイトなプレイヤーは参加率が低い分、そもそものハンドレンジも強くなっています。
また、ブラフも少ないため3ベットされた時点でかなり強力なレンジになっている可能性が高いです。
上手なプレイヤーが相手なら3ベット/4ベットに回すようなハンドであっても、コールで留めたり、ポジションが悪い場合は降りてしまうのも選択肢になります。
間違っても「GTOではブラフ5ベットだから…」と、非常にタイトなプレイヤーの4ベットに突っ込んでいくようなプレーはしないようにしてください。
(GTOを勉強し始めた中級者がやらかしてるのを何度も見ています。)
それが正しいかはここでは触れませんが、仮にAA, KKでしか4ベットしない相手にA5sで5ベットするような人がポーカーで勝てないのは明らかですよね。
あくまでも相手に合わせた戦略を組み立てるようにしましょう!
ルース・パッシブなプレイヤーへの搾取戦略

ルース・パッシブなプレイヤーについても、改めて特徴をおさらいしましょう。
- プリフロップの参加頻度が高い(≒参加するスターティングハンドの基準が低い)
- ブラフはあまりしない
- 手の強さに対してそこそこ素直
ルース・パッシブなプレイヤーに対しての対処は、タイト・パッシブなプレイヤーと少し異なります。
ブラインドスチールを減らす
これは説明不要かもしれませんが、単純にブラインドスチールの成功率が下がるためです。
そのためK7o, J3s等のスチールからしか利益を得られないようなハンドについては、参加を控えた方が良い事が多いです。
ただ相手がパッシブな傾向にあるので、ある程度プレーがしやすいハンド群(T9oや85sなど)はポストフロップのミスを期待して参加するのも良いかもしれません。
相手のハンドレンジが弱い以上、ポストフロップのブラフが決まりやすいので、ポットを取れる可能性がそこそこ高いです。相手に合わせて参加するハンドを調整してみてください。
プリフロップの3ベットを増やし、4ベット/5ベットを減らす
ルースなプレイヤーは基本的にオープンレンジが弱いです。
※ただしリンプを多様するタイプの場合は例外。オープンレンジだけタイトな構成になっている事もあるので要注意です。
弱いレンジの相手と大きなポットを戦いたいので、3ベットを用いて積極的にヘッズアップに持ち込みましょう。他のプレイヤーが降りれば大体コールして貰えます。
また、コールされる前提の戦略なので、AToやKQo, A5sといったエクイティの高いハンドを中心に3ベットレンジを広げていきましょう。
65s等のエクイティが低いハンドはポットの取得率が下がるので、優先度は低いです。
なお1つ注意点をお伝えすると、勢い余って4ベット/5ベットまで増やさないようにしましょう。
ルースとはいえパッシブなので、3ベット以上のアクションが返ってきた時は強いレンジとぶつかっている可能性が高いからです。
あくまでも「ルースなレンジに対してレイズを増やす」事を意識して利益をあげていきましょう!
まとめ

本記事では”平均的”なプレイヤーへの対処もとい、パッシブなプレイヤーに対する搾取戦略について紹介しました。
オンライン・ライブ問わず、低レートゲームのプレイヤーは大半がパッシブなプレイヤーのため、まずはパッシブプレイヤーから最大限の利益を上げる事が戦績向上への近道だと思います。
アグレッシブなプレイヤーはパッシブなプレイヤーと比べて手ごわく”平均的”とは言い難いため、彼らへの対処は本記事では扱わない事としました。(低レートは強い人が少ないですし。)
とはいえ重要なテーマですしメインテーマに取り扱う記事も近日作成しますので、そちらも是非読んでみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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